堀口さん:[前編] 自分が笑ってる理想の生活

常陸太田市は、南北に約40kmある茨城県で一番大きな市です。
南東部には市役所がある常陸太田地区、南西部には勉知庵がある金砂郷地区。
北東部には里美地区(以後、里美)、北西部には水府地区と、地区によって生活環境が少し異なります。

今回は、海まで15分の常陸太田地区で2016年から暮らされている堀口さんに、移住経験談を伺いました。

目次

プロフィール

・福岡県→沖縄県→常陸太田市に移住
・奥様(36)、長男(7)、長女(5)と4人暮らし
・元インストラクター(ダイビング)
・地域おこし協力隊OB
・現在は、梨農園「晴陽」を営む

移住の経緯

数ある地域から、どうして移住先を常陸太田市に決めたんですか?

2人目の子供を授かって、実家の近くじゃないと子育てが大変やけ茨城に来たとよ。
茨城のが子育てしやすい。
沖縄は関東と比べて選択肢も少ないし、子供の将来を考えたら茨城の方がいいかなって思ったとよ(笑)

それで、こっちに来る時に調べたら地域おこし協力隊の募集があったのがキッカケよ。

地域おこし協力隊(以後、協力隊)を以前から知っていたんです?

知らん知らん!
最初は、小美玉市で仕事しようかなって思いよって。
空港が近くて福岡にも帰りやすいし。

それでパソコンで探しとったら、常陸太田の協力隊が出てきて。
妻の実家の隣町やし、「農業やりたいわー」って思って来たとよ。

それ以外は子育て支援がどうとか、何も調べずに来たもんね。
あ、常陸太田って治安が良い。ってところだけ調べたかな。

それ、どうやって調べたんですか?(笑)

ネットで載っとったよ!犯罪が少ないって。
そういうのもあって、常陸太田良いやんって。

堀口さんも飛び込み型ですね(笑)

基本、どこでも良かったとよ(笑)
ほんとは青森に行こうと思いよったっちゃん!

りんご?

そうそう! 青森でりんご作りたかったとよ!
全然知らない所にポンって行って、勝負したかったとよ。
茨城全く知らんやん。どこにあるかも知らんし。

確かに! 九州出身ですもんね。
僕も佐賀県がどこにあるか分かんないし(笑)

そやろ? そんな感じ。
沖縄は憧れと(ダイビングの)インストラクターしよったってのもあるけど、九州と沖縄って近いから友達が住んでたりするわけ。
そういうのが嫌で、全く知らない所に行きたかったと。

趣味から始まる人の繋がり

(写真はイメージです)

「地域に馴染めるか不安で踏み出せない」ってお悩み、少なくないんですよ。
堀口さんは不安にならなかったんですか?

「うまくやっていけるかな?」とか、その考え自体が俺には無かったけぇ。
「行けば何とかなるやろ!」みたいな。

音楽やってるからさ、どこに行っても音楽の仲間って出来るじゃん?
昔っからそういう環境やけ、楽器があれば何とでもなるやん。

かっこいい(笑)
常陸太田でも楽器を通して地域に馴染んだり、友達ができていったんです?

そうそう!
バンドメンバーの募集だったり、ライブBARに行って繋がっていくみたいな感じで。

すぐ仲良くなるとよね。
「良いギター持ってますね」の一言から始まって、「じゃあLINE交換しましょうよ」って。

音楽以外の人でも仲良くなった方います?

スポーツやろうよ。みたいな社会人サークルのWEBサイトがあるさ。
それでバスケとバドミントンのサークルに入ってバーっと拡がった。

バドミントンのサークルは今も毎週行っとるんやけど、そっから仲良くなるじゃん?
音楽とスポーツやっとけば何とかなるみたいな(笑)

後は、保育園のパパ友で仲の良いメンバーがおるっちゃん。
同世代でバーベキューしたりとか、そんなんよ!
だから楽しいよね(笑)

同じ趣味や環境の人って、すぐに仲良くなれますよね(笑)
ちなみに町会(町内会)の人との関係づくりは、どんな感じですか?

挨拶するくらい(笑)
ほとんど70~80代でしょ?
だから年2回の地域清掃とかで顔合わせるくらいかな。

うちの町会は全部2時間くらいで、用水路の掃除、7月の地域清掃、年2回の公民館の掃除

あぁ、一緒!

それと、ゴミ当番、町会の総会、年1回の若手の飲み会くらいで、集まる機会がそんなに無い(笑)

一緒一緒(笑)

農業の楽しさ

(写真:堀口さんが手掛ける梨畑)

福岡では歯科技工士やBARの経営、沖縄ではダイビングのインストラクター。
そして現在は農業。
全く違う経験をされてますが、梨作りって楽しいですか?

梨に限らず農業の楽しさ、やりがいってあるよね。
なんて言うんだろ、、、。

農業って最初は、自然が評価してくれるんだよね。分かるかな?

分かんないです(笑)

会社員だったら最初の評価って、人じゃん?
梨作りは、梨の木が自分を評価してくれるさ。

肥料や薬をやるタイミングがバチッと合った時は、生き生きした凄く良い状態になるの。
これがまず最初の評価。俺がやってきたことは間違ってなかったんだなって。
その後にお客様が食べてくれて「甘くて美味しいわね」って言ってくれる、人の評価。

楽しさっていうか、梨の木が俺を見てるっていうか、勉強するだけ木は応えてくれる。
水撒きすると葉っぱは生き生きしよるし。
その楽しさはたまらんね(笑)

大切なことは子育てと一緒で、観察だよね。
子供は応えてくれんけど(笑)

それはしょうがない(笑)

農業は楽しいし、逆に難しさもそこにあるよね。
思ったようにならないこともあるから。

難しいからこそ楽しい。

あるよね。簡単だったらみんな作ってるもんね(笑)

40年やってる人と俺みたいな5年目が同じ土俵で勝負しよっちゃけ、負けれんじゃん。
正直、技術は変わらんとよ。やることは一緒やき。

梨作りも移住も、最終形態がイメージできるってのが大切だよね。

移住する前に大切なこと

何事もイメージできるかどうかで、結果も行動も変わりますね。

移住した後のイメージが、湧くか湧かんかよね。
俺の場合も、右も左も分からんけど「たぶん5年後にはこんな風になってるだろうな」ってイメージできるから行く!みたいな。

そのイメージが湧いたキッカケは何でした?

根拠のない自信(笑)
梨なんか、木も見たことなかったし。

でも、さっきの5年後のイメージに自分で近づけていってるさ。

仕事は16時までに全部終わらせて、子供と1時間遊んで。
そのイメージに近づけようとして。それが日々の努力さね。
イメージに近づけることが努力であって、梨を作ることが努力じゃないっちゃんね。

自分がしたい暮らしが見えると、その理想に近づける努力の方法も暮らす場所も見えてくると。

お金が欲しいんだったら、東京でお金になる仕事をすればいい。
俺は40歳を過ぎた時に、「自分の時間をこんな風に使いたいな」って思って。

だから沖縄から茨城に来ることになったけど、結局は「どういう風に自分の人生を作っていこうかな」「より良い人生にしていこうかな」っていうイメージに合致したっちゃんね。

沖縄に5年いたけど、もやもやしてたさ。「なんか違う」を常に抱えてて。
だから妻が茨城に帰りたいっていった時に「チャンス」って思った。

なんか違う。

そうそう。
僕が描いた「より良い人生」と沖縄の生活が、ちょっと違ったってゆうね。

堀口さんの「より良い人生」って?

自分が笑ってる今の生活が、とっても理想だったとよ。
ストレスのない笑える生活をしたいなって。
親父が明るければ家は明るいっちゃん(笑)

例えば、沖縄で家族連れを接客してたじゃん?
親父が暗かったら家族は暗い。親父が上から目線で喋る子供は、上から喋るっちゃん。
親父さんが馬鹿みたいにはしゃいでる子供は、馬鹿みたいにはしゃぐとよ。

だから俺は「財布を握っとるのはお母ちゃん、雰囲気を握っとるのはお父ちゃん」って思っとうとよ。

だけぇ俺がニコニコ笑って子供と遊べば、子供も明るくなるし。
俺がしかめっ面で帰ってきたら、家の中は暗くなるっちゃん。

今も沖縄でもやもやしてたら、子供達の性格は変わってたでしょうね。

そうね。沖縄は、、、なんていうのかな。楽しくなかったよね。
俺、顔が濡れるのが嫌なん。

仕事を選ぼうよ(笑)

俺みたいにダイビングが嫌いな人がインストラクターになると、きちっとガイドするっちゃん。
好きな人がインストラクターになると、マニアックになるとよ。

嫌いだから良い仕事ができるってのもあるんですね(笑)

結局は、人生いかに楽しく生きるかっていうことよ。
お金を選ぶか、時間を取るかってさ。
俺って子供と一番遊んでるパパじゃないかな?って思うくらい、いつも子供と一緒にいるな!とは思うね。

それを自信満々に言えるのって凄い!

そこに重点を置いとるけ、さっきも言ったけど16時に上がって遊んで。
子供と遊べる時間は、あと3年よ。あと3年もすれば段々と仕事にシフトしていって。

今、子供が小さい時に、いかに色んなことを教えられるか。
だから農業なんて最高!

後編について

後編では、堀口さんの常陸太田市での子育て、移住する方へのメッセージをご紹介します。
是非、ご覧ください。

【後編を見る】

Posted by imabokurato